「空き缶ポイ捨て条例」などで、捨てたら罰金というやりかたです。
まったく違った発想で、ごみの問題を解決しようとする方法です。
この方法は、誘導的手法とか経済的手法と言われています。
これはその人にとって利益になること、不利益になることを利用して行動を誘導しごみの回収をはかろうという方法です。
もちろんモラルにまかせる方法で効果があれば、そのやりかたが望ましいでしょう。
でもこの方法は、残念ながらごみの問題については効果が少ないのが現状です。
では処罰で強制する方法はどうでしょう。
即効性はあるでしょうが、処罰が怖いからというのでは社会生活があまりにもギスギスしてしまいます。
誘導的手法が、もっとも自然にごみ問題を解決する方法としてよいでしょう。
デポジット制度はこの方法です。
最も自然に、しかも効果的に4つのRの実現をはかる方法なのです。
デポジットという言葉はあまりなじみがないかもしれません。
デポジット(deposit)というのは、「保証金」とか「預り金」という意味ですが、デポジット制度を正確にいえば、
「デポジット・リファンド・システム」つまり「預り金払戻制度」ということになります。
遊園地でベビーカーを借りたり、美術館で作品解説のレシーバーを借りるとき、使用料金とは別に「預り金」を払います。
帰るときにベビーカーやレシーバーを返すと「預り金」は戻ります。
この「預り金」がデポジットです。
このように、デポジット制度は、ある物にデポジット(預り金)をかけることによって、その物が確実に返却されるように誘導するものです。
かつてわが国では一升びんやビールびんの空きびんを酒屋さんに持って行ってびん代としてお金をもらうということが広く行なわれていました。
このびんの回収のように、デポジット(預り金)を利用して空き容器などを回収、再利用するのが、ここでお話するデポジット制度です。
デポジット制度の3つの優れた点は、第1の理由は、デポジットの対象にした空き容器などの回収率が一挙に上がることです。
わが国のペットボトルの回収率は1998年で約17%ですが、これまでに外国で導入された例から考えれば、デポジット制度の導入によって回収率は一挙に70%から90%まで上がります。
このように回収率が高くなることから、ごみのポイ捨ては一挙に減りますし、ごみ処理費用も減り、リユースも促進されることになるのです。
2捨てる人が回収費用を負担するデポジット制度のもう1つの優れた点は、ごみを捨てた人が回収費用を負担することです。
今の一般廃棄物の自治体回収制度では、ポイ捨てした人の回収費用を住民全体が税金で負担しています。
これは捨てない人にまで捨てた人の分を負担させるということで、いってみれば、正直者が損をする制度です。
これはどう考えても不公平です。
捨てる人に負担がないから、捨てる人がいつまでも減らないのです。
デポジット制度が導入されますと、捨てた人には預り金は返ってきません。
返却されない預り金は、回収・処理費用にあてられますから公平です。
3最後にメーカーが責任をもって回収再使用もともとデポジット制度というのは、ビールびんのように、メーカーが自分の費用で容器を回収して再使用(リユース)するしくみ(逆流通方式)として始まったものです。
つまりデポジット制度は、中味を消費して残った空き容器は最後にはメーカーに戻し、メーカーがそれを責任をもって回収、再使用するというしくみを実現しようとするものです。
大きくまとめると次の6つになります。
1散乱ごみの減少(リユース)デポジット制度は、まず、散乱ごみ対策として導入されました。
デポジットによって、空き缶などがごみとして捨てられないようにするのが目的です。
わが国で観光地、公園などで導入されているのがその例です。
ただしデポジット額があまり小さいとこの効果は低くなります。
やはり購入した人に、返却しようという誘導が働くだけの額とする必要があります。
例えば缶ジュースを150円で買って、缶を返せば、50円戻ってくれば誰もポイ捨てはしないでしょう。
そして、缶が落ちていれば拾って店にもっていく人もいるでしょう。
最近、空き缶ポイ捨て条例を制定する例が増えていますが、デポジット制度の方がずっと効果的です。
2再使用(リユース)の促進デポジット制度は、できるだけ多くの空き容器などを回収し、それを再使用(リユース)するために導入されます。
わが国のビールびんやヨーロッパでのリユース・ペットボトルがその例です。
リユースが進むことでごみの発生が回避(リフユーズ)されます。
とくにデポジット制度で返却される容器は、ごみとして回収される容器と比べてずっときれいな状態で返されるのでリユースに適しています。
ただし現実に再使用を進めるためには、使い捨て容器に回収、処理コストを負担させるなどリユースびんなどの再使用容器が価格の面で有利になるようにするなどの措置が必要です。
3再資源化(リサイクル)の促進デポジット制度を実施すると一挙に高い回収率が実現しますから、回収されたもののリサイクル(再資源化)が促進されます。
例えば廃家電、廃自動車などは、わが国で最近できた家電リサイクル法のような捨てるときに消費者が処理費用を出すという制度よりも、デポジット制度による方がはるかに効果的です。
ただ実際に再資源化を進めるためには、デポジット制度によって回収されたものについて、再資源化を事業者に義務づける必要があります。
4ごみ回収費用の軽減とごみ処分場の延命化デポジット制度は、買った人や、ごみとなった後でもそれを拾った人に、直接持ってきてもらう制度です。
つまり、買った人や拾った人が、自治体回収でやっていることを肩代わりするわけですから、その分ごみ回収費用は減ります。
またデポジット制度によってリユースが進めば、ごみの量が少なくなりますから、ごみ回収費用が軽減します。
また、ごみが減ることでごみ処分場の延命にもつながります。
5ごみ回収・処理費用の公平化ペットボトルの回収にl本30円もかかっている自治体もあります。
ペットボトルや缶などがポイ捨てされたときの回収・処理費は、自治体つまり住民の税金でまかなわれています。
デポジット制度によって、捨てた人に回収・処理費用を負担させ、捨てない人には負担させないという公平化が実現します。
6有害廃棄物の回収有害物をごみとしないための手段としてもデポジット制度はきわめて有効です。
フロンの回収はその例です。
以上の6つのデポジット制度の目的は、対象によって目的が違ってくることに注意してください。
まず、リターナブルびんのようにリユースできるものを対象にするデポジットは、何度も使用するために回収率を上げる手段として使われます。
次に、ワンウェイ容器などリユースできないものを対象にするデポジットは、散乱ごみを減らす(リデユース)ためと、再資源化(リサイクル)の手段として使われます。
回収率を上げる目的はおなじですが、対象によって回収されてからの内容が違うのです。
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